FOODLOSS

フードロスとは

世界問題となった
フードロス(食品ロス)

日本、そして世界中で問題となっているフードロス。

日本では2001年から農林水産省の食品ロス統計調査が始まり、食品ロス削減に向けた法整備がなされてきました。世界では、2015年9月に国連の「持続可能な開発サミット」で2016年から2030年までの持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)という国際目標が発表されました。

貧困を撲滅し、持続可能な世界を実現するためにフードロス削減は世界的にも課題視されているのです。そのような国際問題となっているフードロスについて解説します。

フードロス(食品ロス)とは

フードロス(食品ロス)とは フードロス(食品ロス)とは

フードロス(食品ロス)とは、まだ食べられるはずなのに捨てられてしまう食品のことを指します。似た言葉として「食品破棄」がありますが、こちらは野菜の芯や魚の骨など、食べることができない不可食部分も含まれます。

フードロス(食品ロス)は、大きく2種類に分けられ、食品製造や外食産業など、事業活動によって出るものは「事業系食品ロス」、各家庭から出るものは「家庭系食品ロス」と呼ばれています。

また、フードロスとは食糧資源が無駄になる「もったいない」だけではありません。

フードロスは、ゴミの廃棄・処理に多くのコストがかかるほか、二酸化炭素・温室効果ガスの排出、焼却後の埋め立てによる土壌汚染など、さまざまな問題の原因となっています。

世界課題となったフードロス問題

国連の「世界の食料安全保障と栄養の現状2017年」によると世界の栄養不足人口は8億1,500万人と発表されています。また、国連の「World Population Prospects The 2017 Revision」によると世界人口は急速に増加の一途を辿り、2050年には約97億人まで増加するとのデータも発表されています。

膨大な量のフードロス(食品ロス)が発生する一方で、世界では深刻な栄養不足人口が一定数いて、必要な人に必要な分の食料が行き届いていないのです。この事実からもフードロスは社会課題の一つとして非常に問題視されています。

そして2020年には「WEP(国連世界食糧計画)」がノーベル平和賞を受賞しました。2020年は新型コロナウイルスがもたらした景気の後退によって飢餓に苦しむ人が最低でも8,300万人、場合によっては1億3,200万人以上増加するという予測が公表され、現在も世界中で食料危機とフードロス問題が危惧されています。

データで見る!
フードロス(食品ロス)の現状と影響

データで見る!フードロス(食品ロス)の現状と影響 データで見る!フードロス(食品ロス)の現状と影響

それでは、実際にどれほどのフードロス(食品ロス)が、日本・世界で発生しており、どのような影響を与えているのでしょうか。それぞれのケースをみていきましょう。

日本のフードロス(食品ロス)事情

農林水産省によると、2018年度における日本のフードロス(食品ロス)量は、年間600万t。これを日本人一人当たりに換算すると、食品ロス量は1日130g、1年間で約45kgにもなります。

「事業系食品ロス」「家庭系食品ロス」のそれぞれの数字は以下のようになっています。
・家庭系食品ロス:276万t
・事業系食品ロス:324万t
(食品製造業:126万t, 食品卸売業:16万t, 食品小売業:66万t, 外食産業:116万t)

国連世界食糧計画(WFP)が発表している、世界中で飢餓で苦しむ人への食糧援助量は年間約300万tなので、日本はなんとその2倍。さらに、日本の食料自給率は約40%なので、大量の食料を輸入する一方、その大半を実際には食べず、捨てていることになります。

世界のフードロス(食品ロス)事情

次に、世界のフードロス(食品ロス)の現状を見ていきましょう。

国際食糧(FAO)のレポート資料「世界の食料ロスと食料廃棄(2011年)」によると、世界では年間約13億t、人が食べるために生産された食料の3分の1もの食料が破棄されています。これは、食料を生産する上で費やされた膨大な量の資源が無駄に使われたと同時に、食品を生産する上で発生する温室効果ガスも無駄に排出されたことを意味します。

では世界では一体どのような原因でフードロス(食品ロス)が発生しているのでしょうか。

中・高所得国では、消費者都合のフードロスが多い一方で、低所得国では消費段階での食材廃棄は少なく、フードサプライチェーンの途中での廃棄が多いと言われています。というのも、低所得国では、食材を届けるために必要なインフラが整っていなく、消費者に食材が届く前に食品が痛んでしまい、廃棄せざるおえないケースが目立つのです。

フードロス(食品ロス)は
なぜ起こる?

フードロス(食品ロス)はなぜ起こる? フードロス(食品ロス)はなぜ起こる?

それでは、実際にどれほどのフードロス(食品ロス)が、日本・世界で発生しており、どのような影響を与えているのでしょうか。それぞれのケースをみていきましょう。

食品製造過程から発生するフードロス

食品の加工段階でもフードロス(食品ロス)は発生しています。特に日本では、品質や商品の形、サイズ、重さなど商品に対して、厳しい規格を設けているケースが多いです。その為、栄養価や味に違いが無くとも、加工段階で発生した規格外品などがよく廃棄されています。

流通や店舗から発生するフードロス

コンビニエンスストアやスーパーなど食品を販売する店舗では、品揃えを充実させることで店舗の存在価値を高めているケースが一般的です。しかし、その一方で消費者の需要以上の入荷によって販売期間内に売り切れなかった食品が廃棄されてしまう場合も多々起きています。

飲食店や家庭から発生するフードロス

フードロス(食品ロス)は、家庭や飲食店等、消費者サイドからも発生しています。消費者庁が平成29年に徳島県で実施した食品ロス削減に関する実証実験では、捨てられた理由は、「食べ残し57%、食品が傷んでいた23%、期限切れ11%」の順で多いことが分かりました。飲食店では、賞味期限切れや食材提供前に発生する廃棄と、顧客へ提供後の食べ残しによる廃棄が発生する為、事業者と消費者双方の都合でフードロスが発生します。

フードロス(食品ロス)を減らそう!
私たちができる対策・解決策

フードロス(食品ロス)を減らそう!私たちができる対策・解決策 フードロス(食品ロス)を減らそう!私たちができる対策・解決策

近年、「フードロス(食品ロス)を削減しよう」という動きが世界的に活発になっています。日本でも国を挙げてフードロス(食品ロス)対策を講じていますが、具体的にはどのような対策・解決策があるのでしょうか。

事業者ができること

スーパーやコンビニなど小売店では、期限の迫った食材に対する値引きやポイント付与によって在庫を売り切ることで、フードロスを削減できます。それと同時に過剰な陳列をするのではなく、需要に合った商品数を置くことで在庫ロスを削減可能です。

食慣習の見直しも有効的です。従来は、小売店などが設定するメーカーからの納品期限及び店頭での販売期限は製造日から賞味期限までの期間をおおむね3等分して設定されるケース(いわゆる3分の1ルール)が一般的でした。ですが、納品期限を3分の1ルールではなく、2分の1残しに緩和することで、大幅なロス削減が見込めます。また、事業者が商品を製造する段階で、賞味期限を年月日表示ではなく年月のみの表示にすることも対策になります。

外食産業では、お客さんが食べきれなかった料理への持ち帰りの対応ができるでしょう。商品を製造する事業者は、規格外商品の有効活用や製造過程で発生する廃棄食材を使った新商品の開発等もフードロスを改善するのに有効的です。

家庭でできること

食料の買いすぎはフードロス(食品ロス)につながるため、使う分だけの購入を心がけましょう。事前に必要な食材をメモしておき、買い物リストを作っておくのも効果的です。すぐ消費する惣菜や食材を購入する際はスーパー・小売店で手前に陳列されている商品を購入することも、フードロス削減への貢献です。

買った食材はなるべく廃棄することのないように適切な保存方法で保存することも大切です。冷凍保存や調理をして火を通しておく等、工夫次第で食品の保存期間を長くさせることができます。外食をする際は、食べ残し防止の為、食べられる分だけの注文を心がけましょう。

また、期限表示についての理解もフードロス削減へつながります。

賞味期限とは、美味しく食べることが出来る期限を指します。定められた方法により保存した場合に、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限です。

消費期限とは、過ぎたら食べない方がよい期限を指します。定められた方法により保存した場合に、腐敗やその他の品質(状態)の劣化に伴い安全性を欠くこととなる恐れがないと認められる期限です。

それぞれの期限の違いを理解し、正しく食品を扱うことでフードロス(食品ロス)を削減することができます。

消費者・事業者双方の協力が必要です

フードロス(食品ロス)の解決には、事業者だけ、消費者だけの努力ではなく両者それぞれの協力が不可欠です。家庭でできること、職場でできること、企業としてできること、一つ一つの対策の積み重ねが日本、そして世界のフードロス削減につながります。

フードロスを解決するため
行われている取り組み

フードロスを解決するため行われている取り組み フードロスを解決するため行われている取り組み

日本では、フードロス(食品ロス)に関する法律を定め、国や自治体を挙げて食品ロスを解決するべく取り組んでいます。これは日本国内に限った話ではなく、世界でも同様に、国が食品ロス削減の為の取り組みを推進しています。

日本の取り組み

日本では、法整備を通して国を挙げてフードロス削減に取り組んでいます。平成24年4月には、食品廃棄物の発生自体を減らすべく、食品リサイクル法にもとづいた「発生抑制の目標値」が設定されました。これにより、食品を製造する過程で発生する食品廃棄物の減量化や発生抑制の為の目標値が各企業に課せられました。また、令和元年10月1日には「食品ロスの削減の推進に関する法律」(略称 食品ロス削減推進法)が施行されています。この法律には、食品ロスの定義や食品ロス削減に向けた方針や施策などが盛り込まれています。

自治体の取り組みも盛んに行われています。

京都市は、「新・京都市ごみ半減プラン」の下、食品ロスについてもピーク時(平成12年度9,6万トン)からの半減に向け、ごみ減量行動促進の為に市民・事業者双方に向けた様々な取り組みを行っています。

具体的には、商業施設での店頭キャンペーン実施や各種啓発活動等を行う“生ごみ3キリ運動”を推進している飲食店や宿泊施設を「食べ残しゼロ推進店舗」として認定したり、環境にやさしい「京都エコ修学旅行」を実施したり、フードバンク等民間団体の活動支援をしたりと幅広く活動しています。

長野県松本市では“もったいない”をキーワードとして、あらゆる世代に家庭や外食時等様々な場面での食べ残しを減らす啓蒙活動を推進しています。

具体的には、家庭に向けて毎月30日を冷蔵庫クリーンアップデーと定める啓蒙活動や、市内の保育園・幼稚園の年長児と全小学校の3年生を対象に、食品ロスを減らすための環境教育等を実施しています。

このように自治体ごとの施策が行われるだけでなく、全国での教育現場での食育推進や、農林水産省による、食品ロスの削減につながる容器包装の事業者向け事例集の配布等を通して、フードロス問題に取り組んでいます。

世界の取り組み

世界各地でフードロス削減に向けた法整備や政策が展開されています。

フランスでは、2016年にスーパーマーケットの売れ残った食品を寄付したり飼料に転用したりすることが義務化されました。その為、現在フランスでは、スーパーで売れ残りを廃棄することが禁止されているのです。

イギリスではユーザー同士が食品を“おすそわけ”できる「OLIO」というアプリがメジャーとなっており、個人だけでなく企業も利用しています。アプリを通して賞味期限の迫った食品や過剰在庫になってしまった商品のフードロス削減に貢献しています。

カタールでは、2020年1月にカタール航空のケータリング会社「Qater Aircraft Catering Company(QACC)」が機内食の余りや未提供の食品を地元コミュニティに寄付することを発表し、話題になりました。これにより未開封のヨーグルトやチョコレート、果物やソフトドリンク等が毎日最大300kg、廃棄を免れています。

フードロスを扱ったおすすめの通販

食品を扱う事業者は、フードロス削減の為に賞味期限の迫った食品を通販を通して販売しているケースも多くあります。

Kuradashiというサイトは賞味期限間近の商品をお得にゲットできる通販サイトです。通常の食品オンラインショップと仕組みは同じですが、売られている商品は賞味期限間近の食品や規格外・印字ミスなどの理由で廃棄となる商品等です。

楽天市場では、食品ロス削減の取り組み活動用の商品が販売されており、「食品ロス」で検索することで、全国の事業者が出品している食品ロス対策の商品を購入することが可能です。

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探そう

フードロスを減らすため!まずは自分達でできることを探そう フードロスを減らすため!まずは自分達でできることを探そう

日本では、2030年度にはフードロスを2000年度の半分である489万トンまで削減することを目標に掲げています。政府や自治体、事業者等、組織単位での対策も必要ですが、家庭での食品ロス削減は、各個人の努力が必要不可欠です。目標達成に向けて、まずは自分達でできることを行っていくことが、日本全体のフードロス削減へとつながっていくことでしょう。

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